以前、奥多摩の現場で工事をしていました。
何度か通う現場でした。
その途中で、一度だけ、クマを見ました。
怖かった。それと、もうひとつ
正直に言うと、怖かったです。
ただ、そのとき出てきたのは、それだけじゃなかった。
本当に、人里に降りてきてるんだ。
ニュースで見て、知ってるつもりでいました。
知ってるのと、目の前で見るのは、別ですね。
なぜ、降りてくるのか
そこから、ずっと考えてました。
なぜ、山から出てくるのか。
たぶん、餌がないんでしょう。
じゃあ、なぜ餌がないのか。
ここまで来ると、行き着く先はひとつです。
結果的に、原因をつくってるのは人間じゃないか。
で。
ここで「自然を大事にしましょう」と書けたら、楽なんですけどね。
書けません。
建設業は、開発する側だからです。
土地を造成して、掘って、基礎を打って、建物を建てる。それが僕らの仕事です。
ただ、奥多摩に通っていたのは、老人ホームの改修工事でした。造成とか、そんな大それた仕事じゃありません。
それでも、業界としては同じ側にいる。原因をつくっている側に、自分も入ってる。
そこを抜きにして環境の話をするのは、さすがに違うでしょ。
答えは、まだ出てません
じゃあ、どうするのか。
正直、まだ持ってません。
建設をやめる、という話にはならないと思ってます。必要とされてるから、仕事がある。そこは疑ってません。
ただ、「知らなかった」では済まないな、とは思うようになりました。
……と、それっぽいことを書きましたが、いま僕がやれてるのは月2回のゴミ拾いくらいです。えらそうなことは、まだ何も言えません。
それでも、見てよかった
あのとき見たクマのことは、たぶんずっと覚えてると思います。
現場に通ってなかったら、一生知らないままでした。
面白がって現場に出てると、たまにこういうものに出会います。
答えの、出ないやつに。